センター試験で高得点点を狙うには,まず微分積分学の問題を得意にすることが必要です。 得意にするといっても,ただ満点を出せるだけでは不十分で,すばやく終了させてほかの問題を解く時間に当てることが必要です。 微分積分学の主なテーマは3次関数と,放物線がらみの面積です。 ここでは,比較的楽に身につく放物線がらみの面積のほうを先に解説したいと思います。
(1) 1/3公式
放物線y=Ax2+Bx+Cとその接線,およびx軸に垂直な直線で囲まれた部分の面積をSとするとき,
図で示した部分の幅(接点から垂直な直線までの距離)がLであるならば,
S=1・|A|・L3
3
とあらわされます。Aに絶対値が付いているので,上に凸の放物線でも成り立ちます。
証明は,接点の座標と垂直な直線の方程式を設定して,接線を求めて積分計算すればできます。
一般的にやろうとすると非常に煩雑な計算になるのでここでは省略します。
結果を覚えておきましょう。
(2) 1/6公式
放物線y=Ax2+Bx+Cおよびその放物線と2点で交わる直線で囲まれる部分の面積をSとします。
図で示した部分の幅(交点のx座標の差の絶対値)がLならば,
S=1・|A|・L3
6
証明は交点のx座標を設定して積分計算です。
こちらはあまり複雑な式にはなりませんが,証明は省略しておきます。
積分の有名公式の一つに
∫αβ(x−α)(x−β)=−1・(β−α)3
6
と言うものがありますが,1/6公式はこれを積分の式を経由せずに求めるものと思ってもらってかまいません。
(3) 1/12公式
(i) 図のように,放物線y=Ax2+Bx+Cおよびその放物線に接する直線2本で囲まれる部分の面積をSとします。
このとき,図の幅(接点のx座標の差の絶対値)がLのとき,
S=1 ・|A|・L3
12
となります。
これも結果を覚えてもらえれば十分です。
証明は,接点のx座標をそれぞれα,βとして,2接線の交点のx座標を求め(実は(α+β)/2になるのですが,使用頻度が低いので,別に覚えなくてもいい),1/3公式を適用すれば出ます。
実際に公式を適用する場合には,誘導で求めさせられる場合を除き,交点の座標を求めたりする必要はまったくありません。
(ii) 図のように,二つの放物線y=Ax2+Bx+C,y=Ax2+bx+cおよびその両方の放物線に接する直線で囲まれた部分の面積をSとするとき,
図で示した部分の幅(接点のx座標の差の絶対値)がLのとき,
S=1 ・|A|・L3
12
となります。
注意事項として,二つの放物線のxの2乗の係数(今回はA)が等しくないと使えません。
xの2乗の係数が異なる場合は,放物線の交点で切断して1/3公式を用いるしかありません。
一致している場合は,誘導で求めさせられる場合を除き,交点の座標を求めたりする必要はまったくありません。
以上,色々な面積公式を書き並べてきました。
市販の参考書はたいてい,これらの公式がそのまま適用できる例題を持ち出して「こんなに楽に求まりますよー」と宣伝して終わっているのが大半です。
問題は,公式をそのまま適用できる問題がどれほど出題されているかです。
確かに,以前は機械的に公式を適用するだけで面積が求まる問題が主に出題されていました。
しかし近年になって,そのような公式的なものを意図的に避けてきているように感じられるのです。
考えてみれば,そのような参考書は作問委員会も入手するわけで,読んだ参考書の種類で点差が付くとは問題だと考えたからだと予想されます。
ではどうするか。
今からその内容を解説します。
・どのように公式を適用すればよいか。
・公式を使わず積分計算をするのはどのような場合か
の2点について解説したいと思います。
その前にもう一つ,説明しておかなければならない公式があるのです。
(4) 1/2公式
2本の直線y=Ax+B,y=ax+b,
およびx軸に垂直な直線で囲まれる部分の面積をSとするとき,図の部分の幅(はじめの二つの直線の交点から,最後の直線までの距離)が
Lのとき,
S=1・|A−a|・L2
2
となります(1/2公式だけはLの2乗となることに注意)。
これは考えてみれば公式と呼ぶほどのものでもなく,傾きの条件と三角形の面積を考えれば至極単純に理解できるでしょう。
ただ,この面積が機械的に出せると,解く速さが大分違います。
だからあえて,公式として覚えてください。
どのように公式を適用すればよいかの話ですね。
じゃあとりあえず次の例題を考えてみてください。
ただし,n≠−1のときに,
∫xndx= 1 xn+1+C (Cは積分定数)
n+1
であると言う事実を使わず,上の公式を使ってくださいね(もともとはこの式を使ってるわけですが,細かいことは気にせず)。
C:y=x2−4,l:x=4,およびx軸で囲まれた部分の面積を求めよ。
とりあえず図を描きます。
おおむね右の図のようになると思います。
点(2,0)における接線を引きます。
面積を求める領域のうち,接線の上側にある部分の面積は,1/3公式により,
1・1・23
3
となります。
接線の傾きをmとします。
接線の下側にある部分の面積は,1/2公式により,
1・m・22
2
となります。
だからmが求まれば面積は求まります。
が,よく考えてみると接線の傾きは微分法を用いればすぐに求まるわけで。
Cを微分すると,
dy=2x
dx
なので,この接線の傾きは4です。だから求める面積は,
1・1・23+1・4・22=8+8=32
3 2 3 3
となります。
この解法だと積分の式を書く必要がないだけ早いです。
接線の傾き求めるのが面倒だと言う人もいるかもしれません。
その可能性は否定できませんが,少なくとも積分の式を書くよりは早いはずです。
それに導関数は前の問題で求めていることが多いですから,それを使えばいいのです。
大体最初は複雑そうに見えますが,なれると圧倒的に速いです。 受験参考書にはこういうとき方をしているものはない(あの東京出版でも)ので,私が始めて考えた方法ではないかと思います。 1/6公式,1/12公式も同様です。 重要なのは,補助線を引いて知っている公式に結びつける,と言うことです。
あとはどこでこういうとき方ができるかを見抜けるかが分かればいいのです。 では,どこで見抜くか。 補助線の引き方といっても,公式が適用できる引き方をしないと意味が無いのです。 だから必然的に引き方は限られてきます。 すなわち,「交点同士を結ぶ」「交点から接線を引く」の2通りしか考えられません。 それで無理なときは,ほかに引き方が思いつかないかぎり積分の式を書く,といった方法でいいでしょう。
<発展>
やむを得ず積分の式を書くときには,∫f(x)dxの形で立てようとするものです。
それで必ず解けるのですが,区間を分割しなければならないときは,∫f(y)dyの形で書くと楽なことがあります。
このことに関しては問題編の第2問で解説したいと思います。