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センター試験 数学II・数学B

 センター試験は全部で11教科まで受けられます。 その中の「数学A」という枠では,「数学II」「数学II・数学B」「工業数理基礎」「簿記・会計」「情報関係基礎」の5科目から1科目を選択できます。 ただし,大学側で選択科目を制限している場合もあります。

 とりあえず,一番簡単なのは多分「情報関係基礎」です。 物理に詳しいなら「工業数理基礎」なんかもいいでしょう。 簿記はよく分かりません。誰か分かる人募集。 「数学II」は,実は問題によっては「数学II・数学B」より難しいこともあります。 少なくとも,大学に指定されて無い場合は,いろいろな科目を検討してみてから選択科目を決めるのがいいでしょう。
 で,それでも「数学II・数学B」を選ぶ人(あるいは大学に指定されている人)に対して,このページは書かれることになります。


 平成18年度大学入試センター試験数学IIB第5問について,河合塾は以下のような公開質問状を出しています。 ここに一部引用させていただきます。

■ 数学II・数学B 第5問[2](1)に関する質問

相関図と相関表からはデータの具体的値が確定しないため、正確に相関係数を計算することはできません。この状況下で相関図のみからは負の相関があることは読み取れますが、相関係数が −0.9 と −0.6 のどちらに近いかを断定することは不可能(すなわち、−0.75より大きいか小さいかを判断することは不可能)だと思います。
多くの人は「−0.6に近い」とは思うかもしれませんが、多分に主観的な判断が入ることになり、センター試験問題として出題するのは不適切だと思いますが、如何でしょうか。
作成における意図をお伺いできれば幸いです。

 これに対する大学入試センター回答は次のようなものです。

 高等学校学習指導要領解説には,「相関係数などの意味を理解させるとともに,それらを利用して資料の傾向を的確に捉えることができるようにする」とあります。 また,「表計算用のソフトウェアなどを用いて相関係数を求め,これらの資料の間の傾向をとらえさせる」ことも示唆しています。 これらの要請にこたえるためには,論理と計算とともに,経験と知識及びそれによって培われる判断力をつけることが必要です。
 本文は,与えられた相関図(散布図)から,
  1)2つの変量の相関係数の正負
  2)変量間の相関関係の強さ(直線への近さ)と相関係数の大きさの関係
を的確にとらえられるかを問うものです。
 本問で用いた資料の相関係数は −0.64087 であり,相関図とその相関係数を求めたことのある受験者にとっては,これが「−0.9」に近い値ではないことを,経験と知識によって相関図から判断するのは容易であると考えております。

 要するに大学入試センターは,「頭がいい受験生は,きちんと計算しなくても答えが予想できるだろうが,勉強不足の受験生は,そのような予想ができないから,直感で選べない。 その差を得点差に反映すべきだ。」と考えているのでしょう。

 つまり,センター数学で高得点,あるいは満点を得るためには,きちんと正確な答えを求める能力だけでは不十分であり,頭のいい受験生が思いつくように,丁寧に計算せずとも答えを知る方法が必要だということです。 実際,センター試験は時間が無いといわれますが,数学は,そのように正確に計算していた場合は,ほぼ確実に時間が足りません(常軌を逸した計算の速さを持っているなら話は別ですが)。


 たとえばどこかの国公立の2次試験で次のような問題が出たとしましょう。

 +3,=−−2+3,=4とする。
(i) >0,>0,>0が同時に成り立つためのについての必要十分条件を求めよ。
(ii) >0,>0が同時に成り立つためのについての必要十分条件を求めよ。
(iii) を3辺の長さとする三角形が存在するためのについての必要十分条件を求めよ。
(iv) を3辺の長さとする三角形の最大の角の大きさを求めよ。
(v) を3辺の長さとする三角形が二等辺三角形となるためのについての必要十分条件を求めよ。

 (iii)辺りから相当面倒になってくるのではないかと思います。 一応解答を書いておきます。


(i)+3>0⇔はすべての実数…(1)
=−−2+3>0⇔(+3)(−1)<0⇔−3<t<1…(2)
=4>0⇔>0…(3)
(1),(2),(3)の共通の範囲を考えて,求める必要十分条件は,0<<1

(ii)+3>−−2+3⇔2+1)>0⇔<−1または0<…(4)
+3>4⇔(−1)(−3)>0⇔<1または3<…(5)
(2),(3),(4),(5)の共通の範囲を考えて,求める必要十分条件は,0<<1

(iii)まず(i)が成り立つことが必要であり,0<<1…(6)
これは(ii)と同値なので,BC=,CA=,AB=を3辺の長さとする三角形を△ABCとすると,最大辺はBC。
このとき三角形の成立条件より,+3<−−2+3+4 ⇔2−2<0⇔2−1)<0⇔0<t<1…(7)
(6),(7)の共通の範囲を考えて,求める必要十分条件は,0<<1

(iv)最大の角は∠Aであるから,余弦定理より,
cosA=(−^2−2+3)^2+16^2−(^2+3)^2=−
          2(−^2−2+3)・4          2

よって最大角は120°

(v)b=cのときであり,−−2+3=4+6−3=0⇔=3±2√3
この中で0<<1を満たすものは,=(2√3)−3
これが求める必要十分条件である。


 非常に面倒です。うんざりします。 上の解答では単純計算を省略していますが,実際は計算がかなり煩雑です。 ただ,これがセンター試験だとどうなるかという話です。 センター試験は,完璧な穴埋め式です。 それを踏まえて,以下の問題を見てください。

 +3,=−−2+3,=4とする。
(i) >0,>0,>0が同時に成り立つための必要十分条件は[ア][イ]である.
(ii) >0,>0が同時に成り立つための必要十分条件は[ウ][エ]である.
(iii) を3辺の長さとする三角形が存在するための必要十分条件は[オ][カ]である.
(iv) を3辺の長さとする三角形の最大の角の大きさは[キクケ]°である.
(v) を3辺の長さとする三角形が二等辺三角形となるのは=([コ][サ])−[シ]のときである.
(共通一次試験・改題)

 「さっきと同じじゃないか?」と聞く人がいるかもしれません。
ぜんぜん違います。
センター試験の数学Aの解答用紙では,整数(0,1,2,…,9)と符号(−)と文字(a,b,c,d)しか答えられないように作ってあります。 つまり,これらの組み合わせで表せる解答しか考えられないということです。 しかも,途中にどう考えたかを問われることはありません。 それを踏まえて,次の解答を見てください。


(i)+3>0⇔はすべての実数…(1)
=−−2+3>0⇔(+3)(−1)<0⇔−3<t<1…(2)
=4>0⇔>0…(3)
(1),(2),(3)の共通の範囲を考えて,求める必要十分条件は,0<<1
ア:0 イ:1

(ii)まず,>0,>0,>0であることが必要で,それは(i)より0<<1
空欄の形より,これより狭い範囲が答えになることは無い。よって,これで十分。
ウ:0 エ:1

(iii)まず,>0,>0,>0であることが必要で,それは(i)より0<<1
空欄の形より,これより狭い範囲が答えになることは無い。よって,これで十分。
オ:0 カ:1

(iv)空欄は,最大角がによらない定数になることを示している。
よって(iii)を満たすすべてのの値に対しても最大角は一定となる。そこで=1/2とする。

このとき=13/4,=7/4,=2である。
ここで,相似拡大しても角の大きさは変わらないので,4倍に拡大した三角形を考える。
このとき3辺の長さは13,7,8となる。よって余弦定理より,最大角をθとして,
cosθ7^2+8^2−13^2=−
       2・7・8      2

θ=120°
キ:1 ク:2 ケ:0

(v)b=cのときであり,−−2+3=4+6−3=0⇔=3±2√3
この中で空欄に当てはまるのは,=(2√3)−3
コ:2 サ:3 シ:3


 どうでしょうか。 前の問題の解答に比べて,計算量は格段に少ないはずです。
(ii),(iii),(v)については,空欄に当てはまる選択肢の制限というものを用いました。 整数・符号・文字しか当てはまらないので,どうしても答えの形が限られてきます。 ある程度範囲が絞れたら,後は空欄の形から答えが分かってしまいます。 このような解法は本質的ではないという人もいるでしょう。 確かに,もとの問題の解法としては本質的ではないかもしれません。 しかし,数学全体としてみれば,実は本質的な部分もあります(まあ,センター試験を弁護するつもりはありませんが)。
たとえば,「0<のとき,1/+1/+1/=1の自然数解を求めよ。」 という問題では,だれもがの範囲を絞って,そこからしらみつぶしで解を探すのではないでしょうか。

 導出過程を書かないというのも大きなポイントです。 これにより,一般常識からすれば当たり前だが,数学という学問からすれば当たり前でないことを証明する手間が省けます
(iv)の解答で考えます。 高校数学で角度を求めよといわれれば,普通は30°とか60°とかそういうきりのいい角になるに決まってます。 しかし,それはもちろん当たり前のことではありません。 上の記述式の問題の場合,「最大角をであらわせ。」という意味だと解釈して,結果的に定数になる,という風に考えなくてはなりません。 ところが穴埋めの場合,空欄の形からの関数か,それとも定数かなんてことは容易に分かります。 しかもその証明も不要なので,特殊な場合を考えたり,答えを予想してそれが空欄にあうことを確かめれば事足ります


 このことに気づいた参考書会社は,このことを利用するための公式集みたいなのを売り出しています。 それはそれでいいんですが,問題は,「すべての問題がそのような解法だけで解けるわけではない」,ということに言及していない,ということです。 当然,こんな解法が使えるのは都合よく空欄ができている場合に限られます。 都合のいい空欄しかないわけではないということは,火を見るよりも明らかでしょう。
 しかし,このような解法を使わない場合,よほどの計算力がないと満点は厳しいです。

 つまり,センター試験で必要なのは,
・定型問題,答えが楽にわかる問題をすばやく終わらせて,時間に余裕を作ること。
・非定型の難問,煩雑な計算問題を,作った余裕の間に解ききること。
・どの問題がいずれの系統に分類されるのかをすぐに見抜くこと。

この3つが必要なのです。

 計算速度を上げればこの3つの能力が低くてもいいのですが,普通の人間の計算速度には限界がありますし,何よりそれだと数学が単なる作業になってしまいます。 数学は単なる作業ではありません。 確かに私はこれからいろいろな公式を提示するつもりですが,それは型にはめて作業化せよという意味ではありません。
 前述の公式集の問題点は,どのような場合にどの公式を用いればよいかの記述があいまいだ,ということです。 これでは勉強ができなくて買ったはずの受験生は,結局解けないままに終わってしまいます。 私の友人にも「1/3公式」や「1/6公式」なる公式を覚えてる人がいたのですが,まったく使いこなせていませんでした。 それではだめなのです。公式は,使いこなせて始めて公式としての価値が出てくるものなのです。

 以上のようなことに留意しながら,センター試験対策を書いていきたいと思います。
が,私が分かるとは思っていても,分からない,という人がいるかもしれません。 そのような人は遠慮なく掲示板にでも指摘をくれれば,分かりやすく解説いたします。


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